ねぷた笛を作る
2007年の夏に編集した、「夏色雑記町」というwebサイトに掲載された記事を、再掲載いたします。あれから、ざっと10年ほど経ちました。尾島ねぷたまつりは、どんな進化をとげましたか?
〜ねぷた笛を作る 戸谷浩隆さん〜
材料の竹は、旧新田町の、竹やぶのある家から、冬の間にたくさんもらった。しかし、そのお宅の名前は知らないと言う。
「ねぷたの笛を作る、と言ったら、快く提供してくれたんだよ」そうして作った笛は、ただであげてしまう。「高いものじゃないけど、みんなに吹いてもらって、喜んで欲しい」
ただ、最近では笛のお礼にと、なぜかビールなどをいただいてしまうこともあるそうだ。
戸谷さんの作り出す笛はデザインもさまざまで、「吹く人を楽しませたい」という思いが、しみじみとにじみ出ている。
今年は、なんと、歌口の部分が細くて、先へ向かうほど太くなる笛も作り出してみた。
「笛を作るのは、たくさんの人に笛を吹いてもらいたいから」
と、戸谷さんは言う。
今年は、15本の笛を制作した。月に2本、多くて3のペースで、仕事の合間にコツコツと作業を進める。
一昨年の夏ごろから笛作りを始めた。篠笛作りのホームページを見ながら勉強したり、仲間と相談したりして、さまざまな笛を作り出した。
一年前、戸谷さんはこんなことを言っていた。
「笛はやってみても音が出ない、とあきらめてしまう人が多い。でも自分の笛を持てば、もうちょっとがんばろう、とか思ってくれるんじゃないか」
今年はどうだろう?と周りを見回すと、なぜか、ねぷたまつりで笛を吹く、という人が間違いなく増えた。
戸谷さんたちの願いが、通じたのかもしれない。