骨組みを作る
2007年の夏に編集した、「夏色雑記町」というwebサイトに掲載された記事を、再掲載いたします。あれから、ざっと10年ほど経ちました。尾島ねぷたまつりは、どんな進化をとげましたか?
〜骨組みを作る 内田和行さん〜
内田和行さんの本職は、大工だ。
毎日仕事を終えた後、夜の6~7時から大工の技術を生かして、骨組みの制作作業を開始する。
しかし、内田さん宅は住宅街の中にあるので、あまり夜遅くや、早朝に作業はできない、という。まとめてやれば3、4日でできるんだけど、仕事をしながらやっているから、1ヵ月くらいかかるかな」
今、目の前で見せてもらっているねぷたの骨組みは、神輿のように担ぐこともできるし、引っ張って運行することもできるものだ。 今年は、複数団体から制作の依頼があった。時間も、労力もそれなりにかかっているはずなのに、内田さんは、頼まれればほとんど制作費用のみで作る、と言う。特に、売って儲けてやろう、という考えはないそうだ。
「採算度外視でやっているから。地域発展のため、骨身を削って。ハハハハハ」 骨身を削って、骨組みを作る。その制作作業中は禁酒だ、と内田さんは言う。 「でも、仲間が手伝いに来ると、飲んじゃうんだけど」
ふと、内田さんが、小さなストラップを取り出した。見ると、それは小さな、扇ねぷた。「子どもが作った」そう言う内田さんの顔は柔和で、自らの骨組みを見せた時よりも、とても嬉しそうだった。ねぷたへの思いは、親から子へと自然に受け継がれていく。